|
「情けは人の為にならず」の意味するところが、昔と今では大きく変わってきました。人にかけた情けは巡り巡って自分に帰ってくるもので、報酬を期待して行うものではなかったのですが、最近ではWinWinとしてお互いのためとか、「情けをかけることはその人の為にならない」など、自分中心の考えが幅をきかせています。
困っている他人を見ると、たとえ知らない人であても親切にする行動、この「利他行動」は社会間接互恵性と呼ばれ、「他人を親切にする行動を行った結果、その人の評価が高まり、別の第三者から返ってくる仕組み」のことで、人間が生まれながら持っている社会を維持するのに重要な性質です。また、動物の世界では特異なことですが、人間では四ヶ月から一歳半頃から見られる行動で、教えられて身についた行動でなく、近くに居る他児の利他行動(手伝ったり、貸してあげたり)が多くなるとその行動も多くなることが実証されてきました。すなわち、「乳幼児は叱られないために動くより、人の喜びを糧にして動く」ことが解ってきました。
この利他行動は仲間とうまくやっていくために備わった心の機能ですが、どうすればこの行動を伸ばしてあげられるのかを調べた結果、大人が促したり指示しても促進されず、むしろおもちゃなどの報酬を与えると利他性が損なわれることが報告されています。
すなわち、叱ったり過度に褒めたりルールを貼って掲示したりするのではなく、身近に利他行動をする乳幼児が見え広がる工夫があれば、集団行動を通して正の循環が起こるとのことです。
異年齢保育の当園では、年長児や保育者の身近な行動モデルが大切であることを再確認する研究成果でした。
|
|
|